A型事業所で働いたら障害年金は支給停止になってしまうのか

文責:所長 弁護士・社会保険労務士 大澤耕平

最終更新日:2025年08月05日

1 精神障害の場合について

 精神障害で障害年金を受給されている方について、就労継続支援A型事業所(以下、「A型事業所」といいます)で就労することが障害年金の支給停止につながるかについてまず考えます。

 例えば、まったく就労ができていない状況で障害年金の申請をして等級の認定を受けていた場合には、就労を開始すると、一定程度症状が改善をしたことの証拠だと評価される可能性があります。

 障害年金の認定基準では、精神障害について「現に仕事に従事している者については、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で 受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認した上で日常生活能力を判断すること。」と記載されていますが、障害があることに特に配慮のない一般就労をしている場合には、更新の際に等級が下がったり支給停止となったりすることがあります。

 ただし、A型事業所での就労の場合には、一般就労の場合と取扱いが異なります。

 精神障害の審査を統一的に行うために定められている「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」では、「就労系障害福祉サービス(就労継続支援A型、就労継続支援B型)及び障害者雇用制度による就労については、1級または2級の可能性を検討する。

 就労移行支援についても同様とする。」と記載されています。

 そのため、A型事業所で働くからと言って、等級が下がったり支給停止になったりする可能性は小さいといえます。

2 精神障害以外の障害の場合について

 精神障害以外の障害について、A型事業所で就労することが障害年金の支給停止につながるか否かを検討するにあたり、まず、どのような障害で障害年金を受給しているかを確認する必要があります。

 一部の障害については、認定基準の定め方によって、そもそも就労の有無が問題とされないものがあります。

 例えば、聴覚の障害や視力・視野の障害などについては、聴力検査や視力・視野検査の数値で等級が決まるため、就労の有無は問題となりません。

 心臓、肝臓、腎臓、呼吸器等の内部障害については、現実に就労しているか否かが直接的には問題にならず、A型事業所で就労を始めたことは、一般状態区分(日常生活や就労がどれくらい可能かを診断書上で5段階評価するもので、等級認定の基準を構成する要素の一つ)の評価の際に考慮される事情の一つとなります。

 いずれにしても、A型事業所で就労することが、ただちに支給停止になる仕組みにはなっていません。

 適用される特定の認定基準のない難病等の場合には、現実に就労しているか否かが等級の判定に影響する可能性がありますが、A型事業所で就労していることは、特に配慮のない一般雇用よりは、等級が下がったり支給停止となったりする可能性は低いものと考えられます。

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