筋ジストロフィーで障害年金が受け取れる場合
1 筋ジストロフィーも障害年金の支給対象となる
筋ジストロフィーは、国の指定難病にもなっている病気であり、遺伝子の変異を原因として筋力の低下が生じて、運動機能が損なわれる病気です。
筋ジストロフィーも、その症状の内容と程度に応じて、障害年金の支給対象となります。
筋ジストロフィーの主な症状は、骨格筋の筋力が低下することにともなう、肢体の機能障害です。
ただし、例えば心肺の機能など内臓機能の低下が生じている場合には、肢体の機能障害に限らず、心臓の障害や呼吸器の障害の認定基準を満たしているかも検討する必要があります。
ただし、通常は、肢体の機能障害が中心的な症状となるため、以下では、肢体の機能障害の認定基準をご紹介します。
2 障害年金の認定基準
障害年金の認定基準では、身体の動きにくさを障害として認定する際に、上肢の機能障害、下肢の機能障害、体幹・脊柱の機能障害、そして、肢体の機能障害という4つの類型を設けています。
例えば、交通事故で腰部を強打して腰椎で脊髄損傷が生じたような場合には、下半身不随となり、上半身の機能は損なわれないといったことが起きます。
このような場合には、下肢の機能障害で審査が行われます。
このように、身体の一部分に限定して機能障害が生じるのではなく、全身に症状が生じる疾患もあります。
典型的には、脳梗塞のような脳血管障害により、全身や半身に麻痺が生じるような場合です。
筋ジストロフィーも、全身の骨格筋の機能低下が生じうる病気であるため、通常、4番目の肢体の機能障害として審査がされます。
そして、肢体の機能障害では「肢体の機能の障害の程度は、関節可動域、筋力、巧緻性、速さ、耐久性 を考慮し、日常生活における動作の状態から身体機能を総合的に認定する。」とされています。
ここでいう、日常生活における動作は、認定基準の中で以下のとおり具体的に列挙されています。
ア 手指の機能
(ア) つまむ(新聞紙が引き抜けない程度)
(イ) 握る(丸めた週刊誌が引き抜けない程度)
(ウ) タオルを絞る(水をきれる程度)
(エ) ひもを結ぶ
イ 上肢の機能
(ア) さじで食事をする
(イ) 顔を洗う(顔に手のひらをつける)
(ウ) 用便の処置をする(ズボンの前のところに手をやる)
(エ) 用便の処置をする(尻のところに手をやる)
(オ) 上衣の着脱(かぶりシャツを着て脱ぐ)
(カ) 上衣の着脱(ワイシャツを着てボタンをとめる)
ウ 下肢の機能
(ア) 片足で立つ
(イ) 歩く(屋内)
(ウ) 歩く(屋外)
(エ) 立ち上がる
(オ) 階段を上る
(カ) 階段を下りる
3 筋ジストロフィーで障害年金を申請する際の診断書
障害年金の申請において、適切に認定を受けようと思うと、これらの日常生活における動作について、正確に医師に理解してもらった上で、その実態を診断書に正確に反映してもらう必要があります。
もっとも、医師は必ずしも、日常生活の状況を詳細に把握しているわけではありません。
そのため、診断書の作成を依頼する前に、十分に医師に日常生活の動作における支障の状態を伝えた上で、その後に診断書の作成を依頼することが肝要です。
そして、機能障害が四肢にわたる場合、これらの日常生活における動作の多くが「一人で全くできない場合」やほとんどが「一人でできるが非常に不自由な場合」には1級に、日常生活における動作の一部が「一人で全くできない場合」またはほとんどが「一人でできてもやや不自由な場合」には2級が認定の目安とされています。
また、機能障害が一上肢と一下肢に限られる場合、日常生活における動作のすべてが「一人で全くできない場合」やこれに近い状態の場合には1級、日常生活における動作の多くが「一人で全くできない場合」やほとんどが「一人でできるが非常に不自由な場合」には2級、日常生活における動作の一部が「一人で全くできない場合」またはほとんどが「一人でできてもやや不自由な場合」には3級が認定の目安とされています。
お役立ち情報
(目次)
- 障害年金を受給するためのポイント
- 障害年金申請の必要書類
- 障害年金の決定から支給まで
- 不支給通知が届いた場合
- 障害年金の事後重症請求
- 障害年金における初診日
- 障害年金における社会的治癒とは
- 障害年金の配偶者加算
- 国民年金で障害年金2級が認定された場合の金額
- 障害年金の金額
- 働きながら障害年金を受給できる場合
- 障害年金と生活保護の関係
- 障害年金の受給要件
- 障害年金の時効
- 障害年金の種類
- 障害年金がもらえない理由
- 障害年金における障害認定日とは
- 障害年金受給中に新たな障害が発生した場合の対応方法
- 障害年金を受給することによるデメリット
- 障害年金を受給することのリスクはあるのか
- 精神疾患について障害年金が認められる基準
- うつ病と障害年金3級
- 知的障害の場合の障害年金における初診日
- てんかんで障害年金が受け取れる場合
- 新型コロナ後遺症で障害年金を受給できる場合
- 高次脳機能障害で障害年金が受け取れる場合
- くも膜下出血で障害年金を請求する場合のポイント
- 聴力の障害で障害年金が受け取れる場合
- 気管支喘息で障害年金が受け取れる場合
- 心臓にペースメーカーを入れている場合の障害年金
- 難病で障害年金が受け取れる場合
- 筋ジストロフィーで障害年金が受け取れる場合
- 義足で障害年金は受給できるのか
- メニエール病で障害年金を請求する場合のポイント
- 精神疾患の障害年金の更新時の注意点
- 障害年金の額改定請求について
- 有期認定と永久認定について
- 障害年金と障害者手帳の違い
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