がんで障害年金をお考えの方へ
1 こんなお悩みありませんか?
☑ がんと診断されて、抗がん剤治療で日常生活に大きな支障がでている
☑ 抗がん剤の副作用で働くことができない
☑ がんによって全身が衰弱して生活がままならない
☑ がんになった患部を切除した
→がんについても、条件を満たせば障害年金の受給が可能です。
2 がんに関する障害年金の認定基準
がんが原因となった障害について、障害年金を受給できる条件は、国民年金・厚生年金保険障害認定基準の第1章・第16節に「悪性新生物による障害」としてまとめて記載されています。
なお、がんという病気は、全身に生じうるものであるため、その症状の表れ方が多種多様です。
例えば、乳がんと、皮膚がんと、消化器系のがんとでは、一口にがんといっても、それによって生じる障害の内容がことなります。
また、がんは、最初にがんが発生した部位(これを原発巣といいます。)から、転移した箇所にも発生することがあります(このような転移したがんのことを転移巣と呼びます)。
さらに、がんによって生じる日常生活の辛さは、がんそのものだけでなく抗がん剤の副作用などによっても大きく変わってきます。
そのため、障害認定基準では、①がんそのものによって生じる局所の障害、②がんそのものによる全身の衰弱・機能障害、③がんの治療の効果として起こる全身衰弱又は機能障害の全てを評価の対象としています。
このうち、①がんそのものによって生じる局所の障害については、「悪性新生物による障害」だけでなく、局所の障害の内容・程度によってその他の障害年金の認定基準によって判断することが可能です。
例えば、視神経のがんにより失明したとすれば、眼の障害として障害年金の対象となりえますし、咽頭がんにより声帯を失い会話ができなくなれば言語機能の障害として障害年金の対象となりえます。
これに対して、②がんそのものによる全身の衰弱・機能障害、③がんの治療の効果として起こる全身衰弱又は機能障害のように、全身に全体として生じる症状については、「悪性新生物による障害」のなかに「一般状態区分表」という、障害の重さを5段階スケールで測る基準が設けられており、その段階に応じて、障害年金の等級を認定する仕組みがとられています。
「一般状態区分表」では、無症状で社会生活を営めている状況を「ア」として最も軽い区分とし、身の回りのことも介助が必要でベッド周りでしか生活できない状況を「オ」として最も重い区分としています。
3 がんで障害年金申請する際のポイント
このように、がんという多種多様な症状が現れる病気の特徴から、障害年金を申請する際に、障害の症状を整理することが重要です。
また、全身の衰弱については、日常生活の具体的な内容を踏まえて、一般状態区分表へのあてはめが行われますので、丁寧に生活や就労の状況をまとめて診断書等に反映することが重要となります。
4 がんと障害年金に関するQ&A
Q 大腸がんと診断されて切除手術を受けて、一旦完治となったあと、今度は、肺にがんが見つかりました。この場合、初診日はいつになりますか?
A あとから見つかった肺がんが、原発巣であるか、転移巣であるかによって、結論がことなります。
肺がんが、新たに原発巣として発生したということであれば、肺がんで初めて病院にかかった日付を初診日とする可能性が高いと考えます。
他方で、障害認定基準では「転移性悪性新生物は、原発とされるものと組織上一致するか否か、転移であることを確認できたものは、相当因果関係があるものと認められる。」と記載されていますので、肺がんが、大腸がんの転移したものであると判断された場合には、大腸がんで最初に診療を受けた日付けが初診日になる可能性が高いと考えます。
Q 働きながらでもがんで障害年金をもらうことは可能ですか。
A 就労しながら、がんで障害年金が受給できる可能性はございます。
たとえば、がんによる局所の障害により、障害認定基準を満たしている場合など(例えば、失明したなど)であれば、就労継続していても問題なく、障害年金の支給は認められるものと考えられます。
他方で、全身の衰弱を理由に障害年金を受給しようと思った場合には、一般状態区分表では就労状況も考慮要素の一つとして、症状の重さを量ります。
そのため、まったく問題なく仕事ができているというような場合には、一般状態区分表の最も軽い区分と判断されて年金が否定される可能性もございます。
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