障害年金と遡及請求に関するQ&A

文責:所長 弁護士・社会保険労務士 大澤耕平

最終更新日:2025年08月20日

障害年金と遡及請求に関するQ&A

Q障害年金の遡及請求とは何ですか?

A

 障害年金の遡及請求とは、障害年金の請求をする時点から過去に遡って障害年金が支払われるよう請求をする手続きのことをいいます。

 この遡及請求を正しく理解するには、前提として、障害年金の請求の仕組み全体を理解する必要があります。

 まず、障害年金は障害認定日において請求が可能となります。

 障害認定日とは、原則として、初診日から1年半が経過した日のことをいいます。

 腕を切断した場合のように障害の内容によっては1年半の経過を待たずに障害認定日になる特例もあります。

 また、例えば初診日が未成年の場合には初診日から1年半経過した日か20歳になった日のどちらか遅い日が障害認定日となります。

 いずれにしても、障害年金は、障害認定日になったら請求できるという仕組みになっています。

 この障害認定日の時点で障害年金の支給を求める請求を障害認定日請求といい、障害認定日から1年以内であれば障害認定日から3か月(20歳になった日が障害認定日の場合は20歳の誕生日の前日の前後3か月)以内の日を現症日とする診断書を提出して、障害認定日請求が可能となります。

 では、障害認定日から1年以上経過した場合には障害年金が請求できなくなるかといとそういうわけではなく、例えば、初診日から5年経過した時点で症状が急に悪化して、障害年金を請求することにしたというような場合には、事後重症請求といって、障害年金を請求した日以降の分の年金を請求することができます。

 

 ここまでを前提に、以下のような場合を想定してみてください。

 初診日からすでに5年経過してしまったけれども、障害認定日から1年以内には障害年金の申請をしていなかった。

 しかしこれは、障害が軽かったからではなく、そもそも障害年金が申請できるということを知らなかっただけで、後から障害年金の基準を確認したら、障害認定日(初診日から1年半後。現在から振り返ると3年半前)の時点で明らかに障害年金の受給基準を満たす症状であった。

 このような場合、本来、障害認定日に申請をしていれば貰えたはずの年金を貰い損ねていたことになります。

 このようなときに障害認定日まで遡って障害年金の支給を請求するというのが遡及請求です。

Q遡及請求に必要な書類は何ですか?

A

 遡及請求は、このように障害認定日まで遡って年金を請求する手続きです。

 そのため、まずは、障害認定日から3か月以内(20歳になった日が障害認定日の場合は20歳の誕生日の前日の前後3か月)の日付を現症日とする診断書が必要となります。

 また、同時に請求日以前3か月以内の診断書も必要となり、過去と現在と2通の診断書を提出することで、現在の症状についても障害の程度の審査を受ける必要があります。

 その他に、受診状況等証明書、病歴就労状況等申立書、年金請求書等の書類の提出も必要となりますが、これらは、事後重症請求や、本来のタイミングで行う障害認定日請求と特に相違はありません。

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